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 酒田市美術館は、30,000㎡もの広大な敷地に、地元ゆかりの3人の芸術家の作品を展示する常設展示室に加え、企画展示室および市民ギャラリーを配置している。広い敷地全体が美術館であり、そこから望める庄内平野・鳥海山や出羽三山など、そして季節や陽の光・時間・植栽などすべてが一体となるような美術館として計画している。特に、3人の芸術家の中でも、庄内平野の地の心を謳いあげる森田作品の展示室を、最も奥に配置している。

 

 全体を大きく囲い込む厚い壁、それに寄り添って延びる壁、身体的スケールを持って自由自在に空間を包み込む壁、内外部を仕切りながら周辺の風景を透過し映し出す透明な壁、といった4つの壁を主題として空間を構成している。単に美術品を鑑賞するだけの場ではなく、そこにいる時間すべてが日常から少し離れたものと感じてもらえる空間としたかった。

 各展示室には、中庭に突き出すガラスボックスを配し、鑑賞の疲れを癒すだけでなく、日常から連続的に流れてきた時間が少し緩やかになることを意図した。

 ここで過ごした時間をふり返りながら余韻に浸ることができる喫茶スペースを中庭の中心に配し、安田侃氏の彫刻越しに雄大な景色を味わうことができる場を創りだしている。

山形県酒田市 1997.03.

酒田市美術館 (池原義郎・建築設計事務所)

建築概要

敷地面積: 31,516.00㎡

建築面積: 2,905.18㎡

延べ面積: 2,982.54㎡

階    数: 地上1階

最高高さ:  5,850mm

天井高さ:  4,000mm、5,700mm(展示室)

構   造:  RC造

杭・基礎 : 直接基礎

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